「就労移行支援は意味ない」は本当?よくある不安と実態

「就労移行支援は意味ない」と言われる理由

インターネットで「就労移行支援」と検索すると、「意味ない」「無駄だった」といったネガティブな声が見つかることがあります。なぜこのような声が出るのか、その背景を整理してみましょう。

理由①:就職につながらなかった

就労移行支援を利用したものの、2年間の利用期間内に就職できなかった方がいます。厚生労働省のデータによると、就労移行支援の全国平均就職率は約57%であり、約4割の方は利用期間内に就職に至っていないのが現実です。ただし、就職率は事業所によって大きく異なり、80%以上の事業所も存在します。つまり「意味がなかった」のではなく、事業所選びが適切でなかった可能性もあります。

理由②:プログラム内容が合わなかった

事業所のプログラムが自分のスキルレベルや目標と合わなかったケースです。例えば、IT業界を目指しているのに基礎的な軽作業が中心の事業所に通ってしまった、既にPCスキルがあるのに初歩的な内容ばかりだった、などの声があります。事前の見学・体験でプログラム内容を確認しなかったことが原因であるケースが多いです。

理由③:事業所との相性が悪かった

スタッフとの人間関係、利用者同士の雰囲気、事業所の方針などが合わず、ストレスを感じてしまうケースもあります。事業所は変更(転所)できるため、合わないと感じたら早めに対処することが大切です。

理由④:工賃がもらえない

就労移行支援は訓練が目的のため、就労継続支援のような工賃・給与は発生しません。このことを知らずに利用を始め、「収入がないのに通い続けるのは意味がない」と感じる方もいます。利用前に制度の仕組みをしっかり理解しておくことが重要です。

理由⑤:支援の質にばらつきがある

全国に3,300以上の事業所があるため、支援の質にはどうしてもばらつきがあります。中には利用者の意向を十分に反映せず画一的なプログラムしか提供しない事業所も存在します。事業所の選び方が極めて重要になる理由です。

就労移行支援が「意味あった」人の特徴

一方で、就労移行支援を利用して「本当に意味があった」「就職できてよかった」と感じている方も数多くいます。意味があったと感じる方に共通する特徴を見てみましょう。

  • 明確な目標を持って通所していた:「事務職に就きたい」「IT業界で働きたい」など、具体的な就職目標があった
  • 事業所を慎重に選んだ:複数の事業所を見学・体験し、自分に合った場所を選んだ
  • プログラムに積極的に参加した:出された課題に真剣に取り組み、フィードバックを活かした
  • スタッフとのコミュニケーションを大切にした:困ったことや不安をスタッフに相談し、支援計画の調整を行った
  • 自分の障害特性を理解する努力をした:自己理解を深め、配慮事項を明確にできた
  • 適度な期待を持っていた:「通えば自動的に就職できる」ではなく「自分で努力する場所」として捉えていた

就労移行支援は「通うだけで就職できる」サービスではなく、「自分から積極的に活用する」ことで初めて大きな効果が得られるサービスです。

就労移行支援が「合わなかった」ケースと対策

ケース1:プログラムのレベルが合わない

対策:入所前にプログラム内容を詳しく確認する。体験利用で実際のプログラムを受けてみる。IT業界を目指すならIT特化型事業所を検討する。経験者向けのコースがある事業所を選ぶ。

ケース2:体調が安定せず通えない

対策:まずは週2日からスタートするなど、無理のないペースで始める。うつ病からの復職を目指す方は、段階的なアプローチが重要。在宅対応の事業所を検討するのも一つの手段。通所ペースの柔軟性は入所前に必ず確認しましょう。

ケース3:事業所の雰囲気が合わない

対策:事業所の変更(転所)は可能です。合わないと感じたら、早めに相談支援専門員やサービス管理責任者に相談しましょう。我慢して通い続けることは逆効果になりかねません。

ケース4:就職先が見つからない

対策:事業所の支援だけに頼らず、ハローワークの専門援助部門や障害者就業・生活支援センター(通称「なかぽつ」)など、複数の支援機関を活用しましょう。求人の幅を広げることで可能性が高まります。

ケース5:他の利用者との関係がストレス

対策:スタッフに相談し、席の配置変更やプログラムの時間帯変更を依頼しましょう。少人数制の事業所や在宅対応の事業所への変更も選択肢です。

就労移行支援の実際の就職率データ

「意味がない」かどうかを判断するためには、客観的なデータを見ることが重要です。

項目 データ
全国の就労移行支援事業所数 約3,300か所以上
全国平均就職率 約57%(令和4年度)
就職後6か月定着率 約80%
就職率の高い事業所 80〜90%超
就職率の低い事業所 30%未満
就労移行支援を利用しなかった場合の就職率 障害者全体の一般就労率は約10〜20%

注目すべき点として、就労移行支援を利用しなかった場合と比較すると、就職率に大きな差があります。また、事業所間の就職率の差も非常に大きいため、事業所の選び方次第で結果は大きく変わります。

就労移行支援を最大限活用するコツ

就労移行支援を「意味のあるもの」にするために、以下のポイントを意識しましょう。

  1. 入所前に目標を明確にする:どんな仕事に就きたいか、いつまでに就職したいか、具体的な目標を設定する
  2. 事業所選びを妥協しない:最低3か所は見学し、自分に合った事業所を見つける
  3. 支援計画を一緒に作る意識を持つ:担当スタッフと定期的に面談し、目標の進捗を確認する
  4. 苦手なプログラムにも挑戦する:SSTやグループワークが苦手でも、できる範囲で参加することで成長につながる
  5. 体調管理を最優先にする:無理をして体調を崩すと回復に時間がかかる。睡眠・食事・運動の基本を大切にする
  6. 仲間の存在を活かす:同じ目標を持つ利用者との交流が、モチベーション維持につながる
  7. 外部の支援機関も活用する:ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、主治医との連携を大切にする
  8. 企業実習に積極的に参加する:実際の職場を体験することで、自分に合った仕事や環境が明確になる
  9. フィードバックを素直に受け止める:スタッフからのアドバイスは、あなたの成長を促すためのもの

辞めたいと思った時の選択肢

就労移行支援に通う中で「辞めたい」と思うことは珍しくありません。ある調査では、利用者の約3割が一度は退所を考えたことがあるという結果もあります。そんな時は、すぐに退所を決断するのではなく、以下の選択肢を検討してください。

選択肢①:スタッフに相談する

辞めたい理由をスタッフに正直に伝えましょう。プログラムの変更や通所ペースの調整で改善できる場合があります。「辞めたい」と言い出しにくい場合は、「最近少しモチベーションが下がっている」と切り出すのも良いでしょう。

選択肢②:事業所を変更する(転所)

今の事業所が合わない場合、別の事業所に移ることが可能です。利用期間の残りは引き継がれます。相談支援専門員に相談して、自分に合いそうな別の事業所を紹介してもらいましょう。

選択肢③:休所する

体調面で通所が難しい場合は、一時的に休所して体調回復に専念する方法もあります。主治医と相談した上で、復帰の目安を立てましょう。

選択肢④:他のサービスに切り替える

一般就労が現時点で難しいと感じたら、就労継続支援A型・B型への切り替えも選択肢の一つです。体調が安定してから再度就労移行支援に戻ることもできます(利用期間の残りがある場合)。

まとめ

「就労移行支援は意味ない」という声は確かにありますが、それは事業所選びのミスマッチや、利用の仕方が合っていなかったケースが多いです。就職率のデータが示すように、就労移行支援を利用した場合の就職率は利用しなかった場合と比べて格段に高く、適切な事業所を選び、積極的に活用すれば、就労移行支援は就職への強力な武器になります。まずは自分に合った事業所を見つけることから始めましょう。

自分に合った事業所を見つけて、就職への一歩を踏み出しましょう

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