就労移行支援とは?制度・対象者・利用方法をわかりやすく解説

就労移行支援とは

就労移行支援とは、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一つで、一般企業への就職を目指す障害のある方に対して、就職に必要な知識やスキルを身につけるための訓練・支援を提供するサービスです。

具体的には、就労移行支援事業所と呼ばれる通所型の施設に通いながら、職業訓練やビジネスマナーの習得、面接対策、企業実習などを行い、就職活動から職場定着までを一貫してサポートしてもらえます。

厚生労働省の統計によると、就労移行支援を利用して一般企業に就職した方の割合は年々増加傾向にあり、令和4年度には全国平均で約57%の方が一般就労を実現しています。事業所によっては就職率が80%を超えるところもあり、障害のある方の就職支援において非常に重要な役割を担っています。

就労移行支援は「就職したい」という気持ちがある方のための、就職準備から職場定着までをトータルでサポートするサービスです。

就労移行支援の対象者

就労移行支援を利用できるのは、以下の条件を満たす方です。

  • 年齢:原則として18歳以上65歳未満の方
  • 障害の種類:身体障害、知的障害、精神障害(うつ病、統合失調症、双極性障害など)、発達障害(ADHD、ASD、LDなど)、難病のある方
  • 就労意欲:一般企業への就職を希望し、就労が可能と見込まれる方

特に重要なポイントとして、障害者手帳を持っていなくても利用できる場合があります。医師の診断書や意見書があれば、自治体の判断により受給者証が発行されることがあります。

対象となる障害の具体例

障害区分 具体的な障害名
精神障害 うつ病、統合失調症、双極性障害、不安障害、適応障害 など
発達障害 ADHD(注意欠如・多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、LD(学習障害) など
身体障害 肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、内部障害 など
知的障害 軽度〜中度の知的障害
難病 指定難病に該当する疾患

就労移行支援で受けられるサービス内容

就労移行支援事業所では、就職に向けたさまざまなプログラムが用意されています。事業所によって特色は異なりますが、主に以下のサービスを受けることができます。

職業訓練

PCスキル(Word・Excel・PowerPoint)、データ入力、事務作業、軽作業など、実際の職場で求められる実践的なスキルを習得します。IT特化型の事業所ではプログラミングやWebデザインなど、より専門的なスキルも学べます。

ビジネスマナー研修

挨拶、電話対応、名刺交換、報連相(報告・連絡・相談)、メールの書き方など、社会人として必要な基本マナーを実践的に学びます。

SST(ソーシャルスキルトレーニング)

職場でのコミュニケーションスキルを向上させるためのトレーニングです。ロールプレイを通じて、同僚や上司との適切なやり取り方法を練習します。

面接対策・就職活動支援

履歴書・職務経歴書の作成指導、模擬面接、企業研究の方法、ハローワークへの同行など、就職活動を全面的にサポートします。

企業実習(職場体験)

実際の企業で一定期間働く体験ができます。自分に合った仕事や職場環境を見極める貴重な機会です。

定着支援

就職後も最大6か月間(就労定着支援を利用すればさらに最大3年間)、職場への定着をサポートしてもらえます。職場での困りごとの相談や、企業との調整を行います。

利用期間と通い方

就労移行支援の利用期間は原則として最長2年間(24か月)です。ただし、市区町村が必要と認めた場合には、最大12か月の延長が認められることがあります。

通所頻度

通所のペースは個人の状態に合わせて柔軟に調整できます。体調が安定しない方は週2〜3日から始め、徐々に増やしていくことも可能です。うつ病から復職を目指す方は、段階的にペースを上げることが推奨されています。

1日のスケジュール例

時間 内容
9:30 朝礼・体調チェック
10:00 午前プログラム(PC訓練・グループワーク等)
12:00 昼休憩
13:00 午後プログラム(SST・面接練習等)
15:00 振り返り・日報作成
15:30 終了

利用料金の仕組み

就労移行支援の利用料金は、世帯の所得に応じた自己負担上限額が設定されています。多くの方が自己負担0円で利用しています。

所得別の自己負担上限月額

区分 対象世帯 月額上限
生活保護世帯 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) 9,300円
一般2 上記以外の世帯 37,200円

なお、利用料以外にも交通費や昼食代がかかる場合がありますが、交通費を支給してくれる事業所や、昼食を無料で提供している事業所もあります。費用について詳しくは就労移行支援の費用ガイドをご覧ください。

利用開始までの流れ

就労移行支援の利用を始めるまでの一般的な流れは以下の通りです。

  1. Step1:相談
    お住まいの市区町村の障害福祉窓口や、相談支援事業所に相談します。利用を希望する事業所に直接問い合わせることも可能です。
  2. Step2:見学・体験
    気になる事業所を見学・体験します。複数の事業所を比較することをおすすめします。
  3. Step3:受給者証の申請
    市区町村の窓口で「障害福祉サービス受給者証」の申請を行います。医師の診断書や意見書が必要です。
  4. Step4:利用契約
    受給者証が届いたら、希望する事業所と利用契約を結びます。
  5. Step5:通所開始
    個別支援計画に基づき、プログラムへの参加を開始します。

就労移行支援と他サービスの違い

就労移行支援と混同しやすいサービスとの違いを表でまとめました。詳しくは就労移行支援と就労継続支援の違いの記事もご覧ください。

項目 就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型
目的 一般企業への就職 雇用契約のもと働く 生産活動の機会提供
雇用契約 なし あり なし
対象年齢 18〜65歳未満 18〜65歳未満 年齢制限なし
利用期間 最長2年 制限なし 制限なし
給与・工賃 なし 最低賃金以上 平均月額約16,000円

よくある質問

Q1. 障害者手帳がなくても利用できますか?

はい、障害者手帳がなくても利用可能です。医師の診断書があれば、自治体の判断で受給者証が発行されます。まずはお住まいの市区町村の障害福祉窓口に相談してみましょう。

Q2. 利用中にアルバイトはできますか?

原則としてアルバイトとの併用はできません。就労移行支援は「就職に向けた訓練」が目的のため、訓練に専念する必要があります。ただし、事業所や自治体によって対応が異なる場合がありますので、個別にご相談ください。

Q3. 途中で辞めることはできますか?

はい、途中で退所することは可能です。ただし、利用期間の残りは保持されますので、再度利用したい場合は残りの期間内であれば再利用できます。

Q4. どんな企業に就職できますか?

事務職、IT関連職、販売・サービス職、軽作業など、幅広い職種への就職実績があります。事業所の就職実績や得意分野を事業所選びの際に確認しましょう。

Q5. 交通費は自己負担ですか?

事業所によって異なります。交通費を全額支給する事業所もあれば、一部補助の事業所もあります。費用ガイドで詳しく解説しています。

まとめ

就労移行支援は、障害のある方が一般企業への就職を目指すための強力なサポートサービスです。職業訓練からビジネスマナー、面接対策、企業実習、定着支援まで、就職に必要なステップを一貫してサポートしてもらえます。利用料金も多くの方が自己負担0円で利用でき、経済的な負担も少なく始めることができます。

まずは気になる事業所を見学・体験してみることから始めてみましょう。

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